休眠抵当権を抹消する方法は5つ|手続きは抵当権者が行方不明かがポイントになる

古い時代の抵当権も抹消できる

不動産の登記簿謄本(登記情報)に、明治時代や大正、戦前に設定されたまま抹消されないで、そのままになっている抵当権の登記があることもあります。

 

自分が新しく買ったときに住宅ローンで抵当権を設定したときには、ほとんどないかもしれません。

 

でも、田舎の相続登記をする時点で発見して、どうしていいかわからなくなってしまうこともありますよね。

 

実際には、古すぎて登記だけが残っていることがほとんどです。

 

そんな古い抵当権(休眠抵当権)を抹消する方法について紹介します。

 

 

休眠抵当権抹消登記をしなければならない2つの場合

 

休眠抵当権とは、かなり以前から抵当権が設定してあって、眠ったままになっている抵当権のことです。

 

明治・大正時代の古すぎる抵当権をイメージする感じです。

 

ありがちなのは、昔からある土地で、

  • 相続やら用地買収などが原因で名義変更登記をする必要がある場合
  • お金を借りる際に使っていない土地を担保にする場合

などですね。

 

こういうときに、物件の登記情報を確認すると、むかしの抵当権がついていたりします。

 

当時の貨幣価値が現在より小さいから、債権額が10円と数百円とかの時代の抵当権が設定されていたりします。

 

今は多くの場合がコンピューター化されている登記簿なのでほとんどが古い抵当権も移記されていて、パッと見た感じではありがちな「抵当権設定」と書かれています。

 

そのコンピューター化される前の、古い登記簿を見ると、もうわけがわからない文字がずらずら書かれているんですね。

 

これを抹消するとなると、抵当権者が誰かもわからないという場合がほとんどです。

 

住宅ローンの抵当権抹消登記と違う点は2つ

 

住宅ローンが終わった時にする一般的な抵当権抹消登記手続きの申請方法は、ひな形に書き込むだけで完了してしまいます。

 

休眠抵当権はどこが違うのか?その違いは2つです。

 

  • 抵当権の元になる債権の支払いが終わっているかがわからない
  • 登記記録に記載している抵当権者のことがわからない

 

昔の休眠抵当権が農村だったりしたら、飢饉や農業ができずにやむをえずお金を借りた際に抵当権を設定したのでしょう。。

 

借金は返済したけど、抵当権の抹消登記をしていないで、抵当権の登記が残ってしまっているケースがあります。

 

この古すぎる休眠担保権を抹消するには、まずは、貸した人の行方が現在わかっているかどうかで抹消の方法の難易度が違ってきます。

 

休眠抵当権の抹消方法

 

 

明治とか大正時代の抵当権って、ありえないくらい古く思えるんですが、自動的に抹消されないんですか?


 

抵当権抹消登記は、原則として勝手に抹消登記がされる事はないんですね。

 

だから、休眠抵当権を抹消するためにいくつかの方法があります。


休眠抵当権を抹消するにはいくつかの方法があります。

 

司法書士などの専門家に相談するのもいいかもしれませんが、司法書士もおそらく休眠抵当権を抹消したことなどある人を探すくらい珍しい登記です。

 

だから、自分で休眠抵当権を抹消する方向で進めても、時間と手間は同じくらいでしょう。

 

休眠抵当権を抹消するには、大きく分けて、抵当権者(貸した人)の行方が不明なのかどうかで、方向性が変ってきます。

 

担保権者(抵当権者)の行方がわかっている場合

  • 通常の抵当権抹消登記と同じ申請方法

    休眠抵当権と言っても、抵当権なので、抵当権者が義務者であることは同じです。

    大正や昭和はじめの抵当権者の多くは個人です。相続人がわかっていれば、相続人と一緒に抵当権抹消登記ができます。

    ただ、抵当権が設定されてから100年前後経っていると、相続人が大人数になっているかもしれません。

    大変な時間と労力が必要ですが、相続人の一人一人に丁寧に説明すれば、抵当権の抹消ができます。

    たとえば相続人全員が登記手続に参加することとなって、除籍謄本などを取得して登記をする必要があります。

    場合によっては、抵当権抹消登記とは別に、抵当権移転登記が必要な場合があります。

    もし、相続人等がいない場合は、特別代理人または清算人の選任を裁判所に申立てる必要があります。
  •  

  • 判決で抵当権抹消登記を申請

    抵当権者が抹消手続きに協力しない場合にこの方法を使います。

    ある程度時間がかかりますが、勝訴すれば単独で申請することができます。

 

担保権者(抵当権者)が行方不明の場合

  • 債権の元本・利息・遅延損害金の全額を弁済供託する方法

    被担保債権の元本・利息・遅延損害金の全額を供託所(法務局)に弁済供託する方法です。
    実務上もよく利用されている方法です。
    精しくは→弁済供託で休眠抵当権抹消登記をする方法
  •  

  • 除権決定を受ける方法

    訴訟より簡便な裁判所手続を利用する方法です。

    裁判所に対して公示催告の申立てを行ってから、除権決定というものを受け、所有権登記名義人が単独で抵当権抹消登記を申請します。
  •  

  • 債権証書と最後の2年分の定期金受取証書を提出する方法

    法律上、方法はあるのですが司法書士事務所でも、まずしたことのない登記方法です。

抵当権の担保権者が会社など法人である場合には、弁済供託の担保権抹消登記手続を利用することは難しいです。

 

それは、前提となる「行方不明」について、法人の場合は認定されにくいからなんですね。

詳しくは→抵当権抹消登記をしたいけど相手が不明な場合はどうする?

 

ほとんどの休眠抵当権は抹消できる

休眠抵当権がついている田舎の土地

 

抵当権は、原則として抹消申請しなければ、抹消されません。

 

でも、抹消しないと休眠抵当権のように抹消すること自体がやっかいになっちゃう場合もあるんですね。

 

 

友人が地方の田舎の土地と古くからある家を購入した時に、休眠抵当権があったっていう話を言ってたなぁ。


 

よく問題となるケースは、そこに誰も住んでいないという場合ですね。

 

さらに、その抵当権が古すぎて誰も抵当権者について知らないと抵当権を抹消するのは大変です。


どんな場合でも、お金を借りて土地を買うことになると、まずは古い抵当権(休眠抵当権)を抹消してください、という話になります。

 

まずは古い抵当権を抹消して、それからお金を貸しますよ、ということになるのですね。

 

ほとんどの場合は、休眠抵当権は完済されていて消滅していることが多いです。もし、返済ができなくて競売がされていたら、抹消されていたからです。

 

たとえ、未完済でも、時効援用で休眠抵当権は消滅します。休眠担保権の登記は事実上無意味ですが、融資の支障となることがあります。

 

逆に田舎の土地や建物を知らず知らずのうちに相続していると、突然、司法書士などから書類が送られてくることもあります。

 

「登記原因証明情報と委任状の二つに、認印でいいので、印鑑を押してください」という内容です。

 

田舎の土地を購入した人が、司法書士に依頼して、抵当権抹消手続きをした場合ですね。

 

ほとんどのケースでは大丈夫なのですが、まれに地面師の可能性もあるので、地元の法務局に無料相談窓口で聞いてみて確認したほうがいいかもしれませんね。

 

物件査定ができる

 

休眠抵当権が設定されていても、現在、市場ではどれくらいの不動産価値があるのか、売却したらいくらくらいになるのか、知っていれば、抹消コストも比較できますよね。

 

ネットで依頼すれば、簡単に査定してくれます。(抵当権抹消登記手続き前でもOK!)

もちろん費用は無料です。1分程度で完了しますよ。

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