相手が不明な休眠担保権の抹消
もとになる債権が消えていることを証明するのが時間がかかる
自宅を売却しようとした際に、「古い抵当権の抵当権抹消登記を申請しないと売却できない」と言われたんです。
明治時代に設定された抵当権で、相手の抵当権者が今どこで何をしているのか不明なんですが、どうやって登記したらいいんでしょう。
それほど古い抵当権を抹消するということは、いわゆる休眠担保権の抹消のことですね。
そもそも、明治時代の古い抵当権が残っていること自体がきみ悪い感じもしますよね。
不動産登記簿をみないと正確な判断できないのですが、普通の抵当権抹消登記よりは簡単ではない手続きになっちゃいます。
わかりやすい場合は、1ヶ月くらいで、抵当権抹消登記が終わりますが、複雑な事案だと、3ヶ月以上かかっちゃうかもしれません。
休眠担保権の抹消には4つの方法があるので、自分に適した方法で抹消しましょうね。
休眠担保権を抹消する4つの方法
登記簿に記載されている再建を、完済したことを証明する書類があれば、その書面を使って抵当権を抹消する事はできます。
簡単に言えば「領収書」があればいいですよ、ってことなんです。
でも、明治時代のころのお金のやり取りや領収書自体が、この時代に残っているのか、といえば微妙ですよね。制度としてはあるのですが、現実には利用されないようです。
抵当権には債権額が書かれているんですね。
この債権額にプラスして”利息”と”遅延損害金”を合わせた金額を、法務局に「供託」するんです。
法務局が一時預かり的なことをするわけですね。
これで、古い抵当権も債権がなくなったことになって抹消されることになるのですが、債権額10万円なのに、供託する金額が50万円になったりする場合もあります。
抵当権の権利が消滅していることを証明してお墨付きをもらう、という意味ですね。
費用はかからないですけど、手続き期間が長いのでメリットはあまりないです。
しかも、消滅時効を援用するための訴訟をしたほうが、手っ取り早かったりします。
これは、契約書やら領収書やらなにも資料が残っていない場合ですね。
多くの場合は、この方法が現実的かもしれません。
でも、時間がものすごくかかってしまうのと、抵当権者が実在していたりしたらやっかいなことになりがちです。
登記簿上は、抵当権を「判決」という登記の原因で抹消することになるのですが、法律上は、実体として、抵当権もとになった債権が消滅したという意味での抵当権抹消ではないんですね。
いずれにしても、相手が不明な場合に抵当権抹消登記をするためには、もとになる債権がないことを証明する時間がものすごくかかる、ということなんですね。
逆に言えば、この証明さえ終わってしまえば、普通の抵当権抹消登記と同じ申請の手続きをする流れに乗るだけです。