弁済供託で休眠抵当権抹消登記
供託のための利息・遅延金の計算がポイント
「弁済供託での休眠抵当権抹消登記」はまれに利用されます。
休眠担保権を抹消する中でも、他の休眠抵当権抹消登記手続に比較して、用意する必要書面が少ないことと、裁判所という堅苦しい役所を利用しないで済むところが利点です。
どのようにして弁済供託の手続きをするか
まず、弁済供託での休眠抵当権抹消登記をするには、いくつかの条件が整っていることが必要です。
- 抵当権者等が行方不明であること
- 被担保債権の弁済期から20年を経過していること
- 債権・利息・遅延損害金の全額を供託すること
休眠抵当権でもこの弁済供託の制度が利用できるのは、抵当権の他に、「先取特権・(根)質権・根抵当権・これらの権利の処分」に関する登記・仮登記があります。
弁済供託によって抵当権抹消登記ができないものは
- 譲渡抵当権に関する登記
- 仮登記抵当権に関する登記
- 買戻権付所有権移転に関する登記
弁済供託手続の方法
登記記録を見て、抵当権者の登記上の住所地を見ます。休眠しているというくらいなので、かなり昔の住所が出てくると思いますが、現在の住所にあわせてその住所を管轄している供託所(法務局)に、弁済供託します。
被担保債権、弁済期日から供託日までの利息・遅延損害金の全額を支払うわけですね。
ただ、昔と今とでは貨幣価値はずいぶんと違うのですが、その債権額を現在の貨幣価値に合致させる必要はないんですね。
明治時代に弁済期が来ていた場合、供託日(現在)までの利息・遅延損害金が100年くらい経っていることもあります。
こうなると、かなりの額の供託金が必要だと思ってしまいますが、債権額が100円だったとすると、それに120年分の利息・遅延損害金が年率6%として計算してみると、合計額は約720円にしかなりません。
確かに、明治時代100円は現在の貨幣価値に直すと約200万円だそうですが、200万円を支払う必要はないということです。
そして、その弁済供託後に、法務局に休眠抵当権抹消登記を申請します。
登記の申請は、通常の抵当権抹消の方法と同じですが、添付情報としての弁済供託の部分に違いが出てくるんですね。
休眠抵当権を抹消する方法は、弁済供託が多いのですが、他にも判決を利用したりなどの方法も手段としてはあります。
→休眠抵当権を抹消する方法は5つ|手続きは抵当権者が行方不明かがポイントになる