繰り上げ返済は早めにしたほうがいい
よく説明で、「住宅ローン控除を受けている10年間は繰上げ返済しないほうがいい」という話を聞きます。
その理由を聞くと、「住宅ローン控除で減額されるお金が減るのはもったいない」と業者の方も売主もみんなそう言っていて、雑誌などにもそういうように書いてあったから、というからなんです。
しかし、これは都市伝説のたぐいなんです。
例えば、3000万円を35年返済、金利1.5%で借りた時の毎月の返済額は、9.2万円です。
その内訳はを見ると、
元金:利息=54,355円:37,500円=6:4
です。
これくらい利息の負担が大きいのはローンが多いことが原因なので、元金を減らす(繰上げ返済する)ことによって利息負担を減らすに越したことはないのです。
「住宅ローン控除でもらえるお金が減るのはもったいない」と考えて、手元に余裕資金があるにもかかわらず、繰上げ返済に手付かずなまま10年間を送る方が、実ははるかにもったいないのです。
できるのに繰上げ返済しないのが一番もったいない
具体的に数字で見てみましょう
期間短縮型の繰上げ返済による効果で2つのケースで見ていくことにします。
例:およそ100万円の繰上げ返済をした場合
借り入れ額3,000万円、返済期間35年、金利1.5%、元利均等返済の場合、繰上げ返済額は3,858万円。新築物件を購入した場合
- 例1‥借り入れから1年経過後のタイミングで約100万円を繰上げ返済
- 例2‥借り入れから10年経過後のタイミングで約100万円を繰上げ返済
住宅ローン控除は、借り入れから10年間、使うことができるので、例2では住宅ローン控除をフルで利用した後に繰上げ返済をするという、多くの人がお得だと考えている例です。
1年経過後に繰上げ返済 | 10年経過後に繰上げ返済 | |
---|---|---|
完済時期 | 33年7ヶ月 | 33年9ヶ月 |
短縮される期間 | 1年5ヶ月 | 1年3ヶ月 |
繰上げ返済額 | 3,793万円 | 3,814万円 |
節約される利息額 | 65万円 | 44万円 |
まず、繰上げ返済は、借り入れから早い時期に実行した方が、効果は高くなる仕組みというのが大前提です。例1、例2の順で短縮される期間が長く、払わなくてもすむことになる利息の額も大きいのです。
繰り上げ返済したら戻ってくる額が減っちゃう?
ここで、繰上げ返済する際によく言われている「住宅ローン控除で減額される戻ってくる額の減り具合」を確認してみます。
100万円を繰上げ返済した時の毎年の住宅ローン控除の額は、ざっくり言うと、繰上げ返済した以降、1年あたり1万円減るイメージです。
なぜならば、住宅ローン控除は年末残高の1%が受け取れる仕組みなので、100万円??1%=1万円分だけ以後の毎年の還付額が減るからです。
住宅ローン控除をフルで受け取ると、合計262万円を受け取ることができるのですが、1年経過後の繰上げ返済では、脳裏の期間の9年分の9万円だけ、住宅ローン控除からの還付金が少なくなるわけです。
結局、繰上げ返済と住宅ローン控除のどっちかを判断するには、総返済額を見ることでわかります。
やはり、繰上げ返済によって住宅ローン控除で受け取る額が減っても、利息節約効果の方が断然高いのです。
ということは、やはり早めの繰上げ返済がオススメです。
住宅ローン控除を待っている人の中には、数百万円の余裕資金を手元に残したまま、借り入れから10度目の年末が過ぎたのを待っている人もいますが、まずは繰上げ返済してしまった方がいいです。
繰上げ返済には、期間短縮型の他に、返済額軽減型があります。期間短縮型も返済額軽減型も、借り入れから早い時期に行うほど、利息節約効果があります。
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