「根抵当権」と「抵当権」の違いは借り入れ方法が違うから
「根抵当権」とは、不特定の債権に対して極度額(きょくどがく)の限度まで担保する抵当権のことです。
たとえば、
ある経営者が事業資金を金融機関から借りる場合に、今月は1000万、来月は200万などと、抵当権をいちいち設定し、お金を払ったら抵当権を抹消するなどとし直していたのでは、手間がかかります。
通常の普通の「抵当権」では、ある特定の債権(決まった額の借金)が返済されると、抵当権も消滅してしまうのでたいへんです。
そこで、この経営者と金融機関との間での継続的な取引から生じる債権を被担保債権とすれば、実務上の手間も省けます。
- 根抵当権を設定できるのは、次の4つのものに限られています。
- 債務者との特定の継続的取引契約で生じた債権
- 債務者との一定の種類の取引によって生じた債権
- 特定の原因に基づいて債権者・債務者間に継続して生じる債権
- 手形上・小切手上の請求権
です。
根抵当権を抹消するときの原因
例えば、住宅ローンで2000万円借りたところ、利息も含めて2000万円を返却したら、抵当権も消滅し、抵当権抹消登記を行うことになります。登記の原因は「弁済」などになりますね。
ところが、何度も何度も取引をする会社などは、いちいち抵当権を設定し、返済したらそのお金でもって、また新たに借り入れすることもあるわけです。
つまり、会社などが銀行から資金を借り入れたり返済したりを繰り返す継続的な取引の場合には、そのたびに、抵当権を設定したり抹消などの登記をするのは不便で、手続がかなり煩雑になってしまいます。
そこで、あらかじめ借入れることができる最高金額(これを「極度額」と言います)を決めておいて、その範囲であればいちいち抵当権設定登記や抹消登記をすることなく、債権を担保するようにしたのが、根抵当権なのです。
だから、根抵当権の抹消の原因には、「弁済」というのがないんですね。
借り入れがなくなっても、あらかじめ借り入れることのできる金額は残っているから、この契約がなくなるまで根抵当権は続くんです。
根抵当権の原因で一般的なのは、契約を解除する、といういみで「解除」が多いですね。
ところで、一般的には、極度額は担保評価額の110パーセントとされています。
根抵当権は通常、会社などの取引で利用されますが、三井住友信託銀行などの個人のカードを利用するときに、新築などの登記の際に根抵当権がつけられることもあります。